百歳夫婦・百歳双子など

[名無し]

夫婦合わせ２００歳／鹿児島市吉野町の１０１歳・吉留節さんと９９歳・チカさん＝介助いらず「これからも楽しく」
南日本新聞　2016.09.19　朝刊　(全933字)　

　夫婦合わせて２００歳―。鹿児島市吉野町の吉留節（みさお）さん（１０１）とチカさん（９９）は、７５年以上連れ添ったおしどり夫婦。あまたの苦難を乗り越えてきた二人は、「一緒にいると心が落ち着く」と互いを思いやりながら、「夫婦ともに元気で１００歳超えを」と意気込む。

　実家が近所だった二人は、幼い頃からきょうだいのように育てられた。「チカと一緒になってくれ」。節さんが小学５年生の頃、チカさんの父親＝当時（５５）＝が、そう言い残して亡くなった。

　大阪で就職した節さんだったが、“遺言”が耳から離れなかった。２５歳で鹿児島に戻り、旧国鉄の整備係に転職。間もなくチカさんと結婚した。

　５人の子どもに恵まれた。ただ、長年連れ添っていると、穏やかな日ばかりとは限らない。今では笑い話だが、酒好きの節さんが酔いつぶれ、当時小学生だった次女（７４）の運動会に遅刻。普段はおとなしいチカさんに激怒された。節さんは「酒の失敗はしばしば。家を追い出され、部下の家に一晩世話になったこともあった」と頭をかく。

　そんな夫婦が大切にしてきたのが、チカさんの嫁入り道具の「たんす」。チカさんは「両親からもらった宝物」と語る。戦時中は夫婦で防空ごうに運び込んで戦火を逃れた。戦後、近くの職人に修理を頼み、今なお大切に使い続けている。

　現在は、次男の利道さん（６６）と３人暮らし。炊事こそ任せているものの、風呂やトイレは全て介助いらずだ。「最近まで庭で農作業をしていたからかな」と笑う二人は、今でも時々草むしりに出たり、新聞や市政広報紙を読んだりしながら毎日を過ごしている。

　県によると、県内で夫婦とも１００歳を超えている世帯はないという。チカさんが誕生日を迎える１２月には、県内唯一の「１００歳超カップル」になる。

　「長いと言えば長い。短いと言えば短い」と半生を振り返る節さん。チカさんは「何一つ不自由なく過ごすことができた」と感謝を口にする。「病気をしないことが一番。これからも楽しく過ごしたい」。どちらからともなく発せられた一言に、チカさんが節さんの顔をのぞき込んで笑い合った。（中咲貴稔）

【写真説明】大切にしてきたたんすの前に並ぶ吉留節さん（右）とチカさん夫婦＝鹿児島市吉野町（北村茂之撮影）