都道府県内男女最高齢者の記録

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杉村（すぎむら）みついさん（高岡市守護町）
｜北日本新聞ウェブ[webun ウェブン]
[県内最高齢の１０９歳] ■理容師全う「人の役に」

ちゃきちゃきとした人柄でどこにでも顔を出した。理容師の職を全うし、人の役に立ちたいとの思いを持ち続け１０９歳で献体に協力した。大正元（１９１２）年８月４日に高岡市宮脇町で生まれた。高等小学校を卒業し、国鉄高岡駅に電話交換手として５年ほど勤めた。故清三さんと結婚し、２男４女をもうけた。夫と理容店を営み、６５歳で引退するまで忙しい日々を送った。きちょうめんな仕事ぶりだった。立ち仕事で鍛えられたのか、体は丈夫だった。病気もせず、ゲートボールの審判資格を取って１００歳までプレーした。好きな民謡がラジオから流れると大きな声で合わせて歌い、公民館のサロンに通っておしゃべりを楽しんだ。長男の妻、礼子さん（８１）は「にぎやかなことが好きで、物おじしない人だった」と振り返る。 　沙（すな）あきこさん（９４）＝高岡市下二上＝は、入浴に通っていた万葉社会福祉センターで、布製のりん台の作り方を教えてほしいと初めて声を掛けたところ、「今すぐでもおいで」と自宅に誘われた。その後、仲良く手芸を教え合うようになった。「気が良くて、大好きだった」としみじみ語る。 　長寿の秘訣（ひけつ）を聞かれると、いつも「腹八分目」と答えた。ごま、昆布、煮干し、梅干しを毎食欠かさず、間食はしなかった。好んで食べたのはイワシやサバといった青魚。自宅の庭のドクダミや小矢部川河川敷のオオバコを摘み、お茶にして飲んだ。畑で作ったヘチマ水をぱっと顔につけ、つやつやの肌を保った。 　信仰心があつく、夫と各地で寺参りをした。６０代の頃、献体の意思を固め、希望者が登録する金沢医科大の天寿会に入会した。会長を引き受けた時期もあり、毎年の慰霊祭に欠かさず出席して手を合わせた。 　昨年、県内最高齢となった。その約７カ月後の今年２月、１０９歳で老衰のため病院で息を引き取った。大雪で自宅に移すことはできず、病院に直接、金沢医科大から迎えに来てもらった。長男の静一さん（８５）は、本人が献体について「長生きしたからいいデータが出るかも」とよく言っていたことを思い出す。遺骨が帰るにはまだしばらく時間がかかる。静一さんは「少しでも世の中の役に立ちたいと言っていた」と母の気持ちに思いをはせた。（牧野陽子） ２０２２年２月６日、１０９歳で死去.